Goistech株式会社のW.Dです。飲食店のUberEats導入から運営サポートまで、現場を担当しています。
「デリバリーを始めたら、店内のお客様への提供が遅くなってしまった」
「ランチピークにデリバリーの注文が重なって、スタッフが混乱している」
「デリバリーと店内営業を同時にうまく回せる気がしない」
このような悩みを持つ飲食店オーナー様に向けて、今回は「デリバリーと店内営業の両立」をテーマに、現場で実際に見てきた事例をもとにオペレーション設計のコツをお伝えします。
デリバリーと店内営業の「同時運用」で起きがちな問題
UberEatsや出前館などのフードデリバリーを導入した直後、多くの飲食店で共通の問題が起きます。
注文のタイミングが重なる
デリバリーの注文はランチ・ディナーのピークタイムに集中します。店内のお客様への対応と同時進行になるため、厨房が追いつかず料理の提供が遅れる——これがもっともよくある現象です。
実際に私が訪問したある定食屋さんでは、「デリバリーを始めてから店内のお客様に20〜30分待っていただくことが増えた」と話していました。デリバリー導入前は10分以内に提供できていたメニューが、厨房の処理能力を超えてしまったのです。
「誰がどれを作るか」が不明確になる
店内のオーダーとデリバリーのオーダーが混在すると、「どっちを優先すべきか」「誰が梱包するのか」といった判断がその場その場で変わってしまいます。属人的な対応はミスの温床です。
スタッフのストレスが溜まる
目の前のお客様への対応と、タブレットからの通知音の対応を同時にこなすのは、精神的にも体力的にも消耗します。「デリバリーをやめたい」という声が出る背景には、こうしたオペレーションの問題が隠れています。
これらの問題は、事前にオペレーションを設計することでほとんど解消できます。以下の4つのステップで整理しましょう。
ステップ1:メニューを「デリバリー向け」と「店内向け」で整理する
最初にやるべきことは、メニューの棚卸しです。
すべてのメニューをデリバリーでも提供しようとすると、厨房の負荷が一気に増えます。まずはデリバリーに向いているメニューと向いていないメニューを仕分けましょう。
デリバリーに向いているメニューの特徴
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 短時間で調理できる | 注文から配達まで30分以内が理想 |
| 容器に入れやすい | 汁物・崩れやすいものは不向き |
| 到着時も美味しい | 揚げ物より煮物・丼物・カレーが優秀 |
| 原価率が管理しやすい | デリバリー手数料を差し引いても利益が出る |
デリバリーに向かないメニュー(生もの、注文後に繊細な盛り付けが必要なもの、揚げ立てが命のもの)は、デリバリー専用ページには掲載しないか、「デリバリー非対応」として整理しましょう。掲載品数を絞ることで、厨房のオペレーション負荷は大幅に下がります。
「デリバリー専用ブランド」という選択肢
一歩進んだ方法として、デリバリー専用のメニューライン(バーチャルレストラン)を作ることも有効です。私たちGoistechが提供するGoing Deliveryのようなサービスを活用すると、既存の厨房設備を使いながら別ブランドとして展開できます。
たとえば、居酒屋業態のオーナーが「唐揚げ専門ブランド」「チーズ料理ブランド」などをデリバリー専用に立ち上げると、店内メニューと動線が完全に分離できるため、両者の干渉がほとんどなくなります。メニュー整理の最終形として検討する価値があります。
ステップ2:厨房の動線・作業レーンを分ける
メニューを整理できたら、次は厨房の物理的な動線を見直します。
ポイントは「デリバリーと店内の注文が、できるだけ別のレーンで流れるようにすること」です。完全に分離できなくても、梱包エリアだけ分離するだけで大きく改善するケースが多いです。
具体的な動線設計のイメージ
【デリバリーライン】
タブレット確認 → デリバリー用調理(1〜2品に限定)→ 梱包エリア → 受け渡しカウンター
【店内ライン】
ハンディ/POSオーダー → 通常厨房調理 → 盛り付け → 提供カウンター
2つのラインを同じ場所でやろうとすると、スタッフが行ったり来たりして時間のロスが生まれます。梱包エリアを壁際の一定スペースに固定するだけでも、動線がシンプルになります。
事前梱包(プリパック)でピークを乗り越える
ピーク前の時間帯に、よく出るデリバリーメニューの容器を準備しておく(プリパック)のも効果的です。
- 丼のご飯をあらかじめ容器に盛っておく
- 揚げ物の仕込みを済ませ、注文が入ったら揚げるだけにする
- カトラリーセットをまとめてセットアップしておく
私が支援したある中華料理店では、ランチ前の30分でプリパックを徹底したところ、ピーク時のデリバリー処理スピードが大幅に改善しました。「バタバタしていたのが嘘みたいに落ち着いた」というオーナーの言葉が印象的でした。
ステップ3:タブレット管理とピーク時の受注コントロール
UberEatsのタブレットには、ピークタイムを乗り越えるための「一時停止(ポーズ)機能」が搭載されています。使いこなしている方は意外と少ないので、ここで確認しておきましょう。
UberEatsの「一時停止」機能の使いどころ
UberEats Eatsマネージャー(タブレット)では、注文受け付けを一時的に停止することができます。
活用シーン:
– 店内が満席で厨房が限界に達したとき
– 突発的な欠員でオペレーションが回らないとき
– 仕込みや清掃など、特定時間帯に集中したいとき
ただし、頻繁な一時停止はプラットフォームのスコア(評価)に影響することがあるため、常態化は避けましょう。あくまで「緊急時の安全弁」として使うのが正解です。
調理時間の設定を「少し長め」にする
UberEatsでは「調理時間の目安」を設定できます。これを実際の調理時間より少し長めに設定しておくと、余裕を持って対応でき、遅延によるキャンセルやクレームを防げます。
| 時間帯 | おすすめの設定値 |
|---|---|
| 通常時 | 実際の調理時間 + 5分 |
| ピーク時 | 実際の調理時間 + 10〜15分 |
「表示より早く届いた」は好印象ですが、「表示より遅かった」は低評価につながります。余裕を持たせた設定が、結果的にレビューを守ります。
ステップ4:スタッフのデリバリー担当を明確にする
オペレーション設計の最後のピースは人の動きです。
「誰がデリバリーを担当するか」を事前に決めておかないと、ピークタイムに全員が一瞬止まって確認する場面が生まれます。その数秒・数十秒の積み重ねが提供遅延を引き起こします。
シンプルな役割分担の例
| 役割 | 担当内容 |
|---|---|
| タブレット担当 | デリバリー注文の確認・受付・配達員への引き渡し |
| 梱包担当 | 容器へのセット・封止・カトラリー同梱 |
| 厨房担当 | デリバリー分の調理(店内分と分けて管理) |
少人数店舗での対応策
2〜3名の少人数店舗では、ホールスタッフが「タブレット確認+梱包」を兼任するケースが多いです。その場合のポイントは「梱包は調理完了後すぐに行う」を徹底すること。調理が終わった料理が放置されると品質が落ち、レビューにも響きます。
よくある失敗:担当を決めていない
「みんなで対応しよう」という方針は、責任の所在が曖昧になり、かえって対応漏れを生みます。「誰も見ていなかった」「てっきり○○さんがやると思っていた」という状況は、担当者を明確にするだけでほぼ防げます。
ルールは口頭だけでなく、紙(もしくはLINEグループ等)に書いて共有しましょう。 バタバタした状況でも迷わないよう、「デリバリーのピーク時ルール」をA4一枚でまとめておくのが実用的です。
【Goistech実績】両立に成功した飲食店の共通点
私たちGoistechは、UberEats正規代理店としてGold🎖️を3年連続で獲得しており、これまで多くの飲食店のデリバリー導入・運営をサポートしてきました。
その中で、デリバリーと店内営業の両立に成功した飲食店には、いくつかの共通点があります。
1. デリバリー専用のメニューラインを持っている
店内メニューをそのままデリバリー化するのではなく、デリバリーに最適化した品数(3〜8品程度)に絞り込んでいます。Going Deliveryを活用して複数ブランドを展開している店舗も多く、店内営業との干渉を最小化しながら売上を伸ばしています。
- 居酒屋(神戸)がデリバリー専用ブランドを追加 → 8ヶ月で売上498万円UP
- 中華居酒屋(埼玉)が点心・チャーハンブランドを展開 → 7ヶ月で341万円UP
- インドカレー店(西東京)が専用ブランドでランチ需要を獲得 → 5ヶ月で204万円UP
いずれも「既存の厨房を使いながら、デリバリーを別レーンで回す」設計を徹底した結果です。
2. ピーク前の仕込みルーティンが定着している
成功している店舗は「ピーク1時間前には仕込みを完了している」という共通ルールを持っています。アドリブで対応するのではなく、時間で管理しているのが特徴です。
3. 週次でデータを確認している
UberEatsマネージャーの「時間帯別注文数」や「メニュー別の売上」を週1回チェックし、翌週の準備に活かしています。データを見ることで「どの時間帯にデリバリー注文が集中するか」が明確になり、仕込み量やスタッフ配置の計画が格段に立てやすくなります。
よくある質問
Q. 店内が忙しいとき、デリバリーの注文をキャンセルしてもいいですか?
キャンセルはできる限り避けることをおすすめします。UberEatsなどのプラットフォームでは、キャンセル率が高い店舗は検索順位の低下やペナルティの対象になることがあります。代わりに「一時停止(ポーズ)機能」を使って新規受注を止め、手元にある注文は丁寧に対応しましょう。
Q. デリバリーの注文と店内の注文、どちらを優先すべきですか?
基本的には「先に入った注文を優先」が原則ですが、最終的には「どちらも遅らせない」ためのオペレーション設計が答えです。本記事のステップ1〜4の改善で、優先度の判断が不要な状態を目指してください。
Q. デリバリーのレーティング(評価)が下がってきました。オペレーションに原因がありますか?
評価低下の多くは「提供時間の遅れ」「梱包の問題」「商品の間違い」が原因です。ステップ2の動線改善(梱包エリアの固定)とステップ3の調理時間設定の見直しが特に効果的です。レーティングの回復策については「デリバリーの低評価レビューへの対処法」の記事も参考にしてください。
Q. 少人数(2名体制)の店舗でもデリバリーと店内を両立できますか?
できます。ポイントはメニューを絞ること(ステップ1)と役割を事前に決めること(ステップ4)です。2名体制の場合、1名がタブレット確認+梱包+引き渡しを担当し、もう1名が厨房専任となるシンプルな分担が最も機能しやすいです。
困ったことがあればお気軽にお声がけください。
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